提案営業で銀行やアパート建築業者の言うなりに節税など結局は出来ない

森金融庁が「アパートローン」に鉄槌  相続税の節税は極端な対策は全部無駄になる

相続税の節税は極端な対策は全部無駄になる

なんで相続税の節税は駄目・無駄・不可能の国税の後出しジャンケンや経済変動・暴落・まさか・が有るのに業者・銀行の提案営業に乗せられ資産減少・減損に成るのを契約するのか?誰も本当の事を言わない嘘つきだ。

 

昭和バブルで相続税節税は全部失敗の現実からアベノミクスでも同じ損失になるのは目に見えている。

相続税節税というブーム流行は反動で資産価値が暴落する。

税金で経済判断をしては行けない。主客転倒だろう。

何故に税金がメインなのか?

経済活動が主で、その一部が税金だ。

必ず再生産のために大部分は残して呉れるのが税金

全部税金は持って行かない。

しかし経済損失は全部失い泣くことになる。

 

鶏を食えば卵は産まない

生まれた卵で鶏をコントロールできない。以下記事転載

昭和バブル崩壊では30%の評価損どころでない地価の変遷

http://www.city.yokohama.lg.jp/toshi/kikaku/chika/pdf/chikahensen.pdf

 

森金融庁が「アパートローン」に鉄槌

月刊FACTA 3/30() 0:55配信

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170330-00000001-facta-bus_all

 

森金融庁が「アパートローン」に鉄槌

バブルを膨張させたのは国交省の怠慢。怒りの矛先は大手アパートメーカーに向かっている。

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「このままでは80年代の不動産バブルやリーマンショック前のプチバブルの二の舞いになる。泥沼に陥る前に手を打つべき」

金融庁や日銀が目の敵にするのが、急増するアパート・マンション建設向け融資(アパートローン)だ。

数字が異常な膨張を物語る。日銀が29日に発表した「貸出先別貸出金」によれば、2016年の銀行・信用金庫による不動産融資は対前年比152%増とバブル期並みとなり、不動産業向け以外の伸び率は低水準に留まった。

括目すべきは、不動産融資の内訳だ。増加分の約3割を1件あたりの融資額が小さい「個人による賃貸業向け貸出」(アパートローン)が占めているのだ。「少子高齢化が進んでいるのに、地方でも単身者向けを中心としたアパート建設ラッシュが発生したが、借り手はどこにいるのか?」(メガバンク幹部)

■相続税対策が引き金

15
1月の相続増税が、アパートバブルのはじまりだ。相続税の非課税枠が引き下げられたことから、地主・富裕層が一斉に節税に走り出した。早い話が、1億円の現金のままだと最高税率55%の相続税の対象となるが、もしこの1億円でアパートを建設すると、相続税評価額が半分の5千万円程度に下がる。

税制改正により相続税の課税対象者は増税前に比べ急増し、15年の東京局管内における課税対象は127%(対前年比52%増、国税庁統計)となった。「アパート・マンションローンを利用するオーナーのほとんどが土地持ちの富裕層。資産運用と節税対策をセットにした実需を伴わない貸し出しが急増している」と銀行幹部はいう。

これをエスカレートさせたのが、162月の日銀のマイナス金利政策だった。アパートローン利用者の大半は土地持ちの資産家だから、融資判断が極めて容易。このため金融機関が殺到し、「いまや当初固定10年型の貸出金利で1%を切る融資は当たり前になっている」(メガバンク幹部)。

これに便乗した住宅メーカーが都市部に住む高齢の資産家を狙って「節税になり想定利回りが高い。ほぼゼロ金利で融資が受けられる」と、アパート建設ブームを囃し立てたのだ。

不動産バブルの発生を恐れる金融庁は昨秋、金融機関のアパートローンの実態調査に乗り出した。結果、アパートローンの貸し出しは不動産事業者が金融機関に持ち込むケースがほとんどであることが判明。「金融機関は住宅メーカーの言いなりになって融資をつけているだけ。顧客ニーズや貸し出し実行後のアパート経営が上手く回っているかのモニタリングはおざなりになっている」(幹部)と、金融庁を憤慨させた。

日銀も昨年10月に発表した「金融システムレポート」でアパートローンに警鐘を鳴らした。一部地域で賃貸住宅の空室率が高まっていることを踏まえ、地銀や信用金庫に入口審査と途上与信の強化を求めた。目下のところは晩婚化・高齢化で貸家戸数が増加しているが、20年以降は本格的に世帯数の減少が見込まれ、空室率が跳ね上がるのは目に見えている。

■レオパレス21の株価急落

金融庁の怒りの矛先は、金融機関より、むしろ大東建託、レオパレス21、積水ハウスグループ、東建コーポレーション、大和リビング、旭化成不動産レジデンスといった建設戸数が多い大手アパート業者に向かっている」(メガバンク幹部)という。

アパートオーナーと住宅メーカーの契約は、建築から入居者募集、管理といった手間がかかる多岐にわたる業務をアパート業者が一括して請け負う「サブリース契約」がほとんど。

オーナーがサブリース業者に一定の手数料を支払い、最長で35年間程度の長期契約と一定期間の家賃収入を保証する仕組みになっている。

実は、アパート建設バブルが収まらない根本要因は、これらのアパート業者の多岐にわたる業務のうち、アパート建設業務の利益率が異常に高いことに起因する。「建設業務の粗利益率は主要メーカーでは3040に達する。その一方で、管理業務やその他の業務の利益率は一ケタが相場で儲からない」(住宅メーカー関係者)とされる。したがって、これらのアパート建設業者は、利益率の高いアパート建設業務を何よりも優先する。「アパートを建てて金融機関に融資をつけさせれば後は知ったことではない」と、バブルの宴に踊っているのだ。

問題は物件周辺の家賃相場が下落した場合だ。業者の都合で家賃の減額や契約解除をオーナーに強制的に認めさせることもできるため、トラブルになるケースが続出している。国土交通省は昨年9月、契約時に「将来的に家賃が減る恐れがある」との説明をするよう業者に義務付けたが、これしきのお達しでバブリーな営業攻勢が止まるわけもない。

そのうえ、オーナー(債務者)が返済困難な状況に陥った場合、住宅資産のみならず自らの保有資産まで強制的に換価されてしまうという由々しき事態も珍しくない。高齢化が進む過疎地のアパートでは空室率が高まり、ローンを返済できず資産を失うオーナーもいるという。

事態の深刻化を裏づけるように、222日には、10年間家賃が変わらない契約でアパートを建てたのにもかかわらず、6年後に減額されたとして、愛知県の男性(80)がレオパレス21を相手取り減額分の支払いを求める訴訟を名古屋地裁に起こした。100人以上のオーナーが一斉提訴を検討していると報じられ、レオパレス21の株価は急落した。

ある金融庁幹部は「結局、悪いのは国交省だ」と吐き捨てる。サブリース契約の問題が明るみに出たのはリーマンショック後の2010年頃に遡るが、国交省は抜本的な対策を怠った。サブリース業界の自主規制団体「サブリース事業者協議会」はあるものの、未加入の大手業者も多いとされており、業界の実態は「監督官庁である国交省ですらよく掴めていない」(同幹部)という体たらくだ。

首相官邸の覚えがめでたい森信親金融庁長官は、「マンションローンバブルを膨らませたのはマイナス金利ではなく、国交省の怠慢だ」と怒りを募らせている。金融庁が金融機関に大号令をかけ、アパートローン・バブル潰しに動く日が近づいている。 

ファクタ出版

 

アパート融資、異形の膨張 16年3.7兆円 新税制で過熱

http://blog.goo.ne.jp/kzunoguchi/e/35bf50617d62fb5f8d31daa33f09532d

 

2017年03月26日 20時22分58 | 市場動向チェックメモ

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14524510W7A320C1MM8000/?dg=1



アパート融資、異形の膨張 163.7兆円
新税制で過熱
2017/3/26 1:41
日本経済新聞 電子版
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 金融機関による2016年の不動産向け融資が12兆円超と過去最高を記録した。背景の一つが相続対策のアパート建設だ。人口減社会には似つかわしくないミニバブル。まだ局所的とはいえ体力の弱い地域金融機関が主役だけに金融庁や金融界からも不安の声が上がる。米リーマン危機を引き起こしたサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の「日本版にもなりかねない」(大手銀行首脳)。

 近鉄名古屋線、津駅から車で10分ほど。海岸に近い中河原地区を中心にアパートが急に増え始めたのは6年ほど前だ。すぐ数軒が目についた。「入居者募集中」。1キロ平方メートルほどの地区に数十軒以上が密集するアパート銀座だ。表札付きの部屋は一部で駐車場の車もまばら。徒歩圏内に駅もないこの地になぜなのか。

 「ブームだからと不動産業者があちこちに営業をかけた」。市内の男性(70)は憤る。自身も約10年前、業者の勧めで銀行から
約2億円を借りて畑にアパートを建てた。近隣工場に勤務する人が入居したが、土地の安さに目を付けた業者が営業を強化しアパートが急増。入居者の争奪が起き「今はどこも空室だらけ。誰が責任を取るのか」。

 日銀によると16年の全国の不動産融資は前年から15%増の122806億円で統計のある1977年以降で最高。バブル期も上回った。アパートローンも同21%増の3兆7860億円と09年の統計開始以来、最高に達した。貸家の新設着工件数も418543件と8年ぶり高水準だ。

 理由の一つは、15年の税制改正で相続税の課税対象が広がったことだ。アパートを建てると畑や更地などより課税時の評価額が下がるため地主らが相続税対策で一斉に建築に走った。マイナス金利で貸出先を模索する金融機関も融資に動き、東京都の郊外などにとどまらず東北や山陰といった地方部にも異様なアパートラッシュが広がった。

 埼玉県羽生市は市内の空室率が10年でほぼ倍増。下水施設などの維持管理コストが膨らむことを懸念し、15年にはアパートの建設地域を従来よりも制限する規制を出した。関西や中部圏から同じ悩みを持つ自治体の視察も相次いでいる。

 融資急増の反動も出ている。「家賃減額分を支払ってほしい」。愛知県に住む80歳代の男性は2月、
不動産大手を相手取った訴訟を地裁に起こした。「10年は家賃が変わらない契約だったのに、6年後に10万円減額された」と主張している。

 男性はある契約を交わしていた。家賃徴収などを会社に一任する「サブリース」で、契約で決めた家賃を大家に払い続けるためリスクが少ないとされる。だが契約大家でつくる会によると、業績悪化などを理由に家賃を減らし、トラブルになるケースが増えている。この不動産大手は「運営環境などに基づいて判断し、協議したうえで決めている。家賃を上げることもある」と説明する。

 こんな事例は氷山の一角との声がある。融資を受ける場合、毎月の家賃収入が返済額を下回ると収支が逆ざやになり、運営を続けられなくなる恐れがある。石川県内にアパートを2棟所有していた男性(61)は家賃を1割減らされたことなどで月々の収支が悪化し14年にアパートを売却した。資産価値下落で手元には約3000万円の借金が残った

 融資実態も不透明だ。津市内のある大家は「不動産業者の紹介で2つの都市銀行から数億円借りたが事業性などの質問はほぼなかった」と証言する。中長期の入居見込みすら確かめていない可能性がある。

 日銀統計もメガバンクや地方銀行などが対象でノンバンクは含まない。工場の敷地内にアパートを建てるケースなども含まれず実情を反映していない。中小企業が運転資金の名目で借りる「事業性融資」が実はアパート向けだったりすることもあるが、金融機関によって定義はあいまいだ。

■金融庁、リスクの把握急ぐ

 アパート融資を含む与信の集中――。金融庁は昨年まとめたリポートで金融システムの健全性に影響を及ぼしうるリスクの一つにアパート融資を挙げた。昨年12月に実態把握に向けて融資残高を伸ばしている12の地方銀行を抽出し、詳細な契約内容の提出を求めた。

 借り手には相続対策が必要な富裕層が多いこともあり、返済不能になっても担保の土地を没収すれば銀行の懐は痛まない。ただ人口が減り続けている地方都市で担保価値は長い目でみて当然、目減りしていくはずだ。調査では給与から返済している事例も見つかった。金融庁幹部は「担保を取っているから安全という問題ではない」と過度な融資増に警鐘を鳴らす。

 ある銀行幹部は「アパート融資の一部は流動化し投資家に売られている」とも明かす。複雑な証券化商品などが増えればリスクの芽は膨らむ。08年に破裂した米サブプライムローン問題も潜伏期間では誰も疑問を持たず危機は静かに進行した。需要と釣り合わないアパート融資急増のひずみは着実に増している。(小野沢健一、亀井勝司)

 

サブリース家賃減額で訴訟・・・レオパレス21

http://www.zenchin.com/news/2017/02/post-3183.php

 

20170228|企業

家主100人が集団訴訟を検討


レオパレス21(東京都中野区)を相手に、オーナーが集団訴訟を起こそうとしていることが24日、分かった。
 
10
年間家賃収入が変わらない契約だったにも関わらず、数年後に減額し家賃収入が減ったため、減額分の支払いを同社に求めるもの。
訴訟を起こすのはレオパレス・オーナー会(名古屋市)の『10年未満に減額された方の会』という部会のメンバーが中心で、約100人いるという。
ただサブリース契約の減額は、減額率や減額時期が個別に異なるため、集団訴訟をできるか検討中だ。
先駆けて22日、同部会の会長家主が個人で名古屋地裁に訴訟を提出した。

訴訟起こした家主は、20051月に月額777800円のサブリース契約を結び、愛知県知多市に20戸のアパートを建設。
契約書には「賃料は当初10年間は不変」と明記されていたという。
11
10月に経営難を理由に約10万円の減額を求められ、受け入れたが業績の回復後も家賃は戻らなかった。
家主は家賃の増額と、交渉を始めた167月以降の差額約81万円の支払いを求めている。

レオパレス21は「オーナー同意のもと家賃減額を行っている。賃料相場に合わせ家賃を増額しているが、相場が回復ぜず減額したままの地域もある」とコメントした。

 

 

2015.05.13

 連載

神樹兵輔「『縮小ニッポン国』のサバイバル突破思考!」

有名不動産業者に蔓延する詐欺的「囲い込み商法」 売り主と買い主両方に多大な損失(前編)http://biz-journal.jp/2015/05/post_9915.html

 

文=神樹兵輔/マネーコンサルタント

【この記事のキーワード】マンション, 不動産, 住宅

Thinkstock」より

競争激化の賃貸住宅市場

 

 

 人口減少の悪影響がますます顕著になるといわれる内需産業ですが、私たちに身近な「衣食住」の分野では、住宅関連の不動産業界が最も大きな転換期を迎えているといわれます。

 2013年の日本の人口は12724万人でしたが、10年後の23年に12200万人に、20年後の3311400万人、30年後の43年に1400万人となり、35年後の48年には1億人の大台を割り9913万人になると推計されています(国立社会保障・人口問題研究所の中位推計より)。

 こうした人口減少・少子高齢化の影響を受けて新設住宅着工戸数も減少気味ですが、なにしろ全国的に住宅がすでにあり余っています

 総務省が5年ごとに公表する「住宅・土地統計調査」における空き家率は、調査のたびに増え続けています。1963年に2.5%、73年に5.5%、83年に8.6%、93年に9.8%、03年に12.2%、08年に13.1%と増え続け、ついに13年には13.5%を記録するまでになっています。すなわち、全国の6063万戸の住宅ストック中、820万戸が空き家というわけです。このうち、賃貸住宅だけに限定すると、13年時点で1841万戸中、429万戸が空き家なので、空き家率は一般住宅よりはるかに高く、23%に上っています。すなわち賃貸物件の4件に1件が空き家ということになるわけです。

青息吐息の家主が激増

 

 

 アパートやマンションを長く経営する家主さんにインタビューすると、決まって返ってくるのが「ここ10年で賃貸住宅の需給は急速に緩んでいる」という実情です。23月の引越し繁忙期を外れて賃貸物件に空きが生じると、内装・クリーニングを済ませた後に入居者募集をかけても34カ月程度の空室期間はザラで、中には半年から1年にわたって空室のままという物件も少なくないといいます。当然、家賃の値下げ競争も激しさを増しています。

 入居者が2年の契約更新期を迎える頃には、入居物件の周辺家賃相場は515%も下落しているという有様だからです。そのため、更新期を迎えたちゃっかり入居者の中には、「更新料をタダにして、家賃を10%下げてくれないなら退去する」と家主に申し入れをするとその要望がたちまち通ってしまうなど、入居者にとっては大変オイシイ激戦区もあるということです。こんな時代が来ると、家主もウカウカしてはいられないでしょう。

 莫大な借金をして、マンションやアパートの一棟もの物件を建てた家主さんの多くは、いまや戦々恐々という時代を迎え、日本全国の家主さん共通の悩みが「空室・空き家」問題に集約されるにいたっているのです。

 

 

 こうした需要の減退状況は、物件の売買・賃貸を生業とする不動産業界においても、年々深刻な問題になっています。売買においても賃貸においても、物件そのものが動かなくなってきていますから、サバイバル競争から悪辣な商法に走る業者も少なくないわけです。そこで不動産業界におけるいくつかの悪辣な事例を紹介していきましょう。

 

 まずは、売買の事例からです。不動産業者の売買時の仲介手数料は、客の「売り」もしくは「買い」の際に、それぞれの客からもらう「物件価格の3%+6万円に消費税」というのが宅建業法上では正規の金額です。「売り」と「買い」の客を別々の不動産業者がつなぐ仲介の場合には、当然ですがそれぞれの不動産業者の手数料収入は自分の客からの分だけということになり、これが本来の標準的な取引になるのです。

 ところが近年の不動産業者の中には、「売り主」に「専属売却委任契約」をもちかけ、他の不動産業者に売却依頼ができない契約を結びたがる業者が少なくないのです。その理由は、物件が売れた時に確実に自分のところに「売り主」からの手数料収入が入ってくるからにほかなりません。

 しかし、こうした縛りを入れられたら、物件の「売り主」は自由に複数の不動産業者に売却依頼することができなくなります。なお悪いことに、こうした「専属売却委任契約」を締結した不動産業者は、物件を囲い込み、他の業者経由の「買い主」を忌避し、自社へ直接買いにきた客にだけ売却するようになり、結果として「売り主」と「買い主」の両方からの手数料収入を得ようとするのです。

 つまり、他の不動産業者から売り物件についての状況照会があるたびに、すでに「当該物件は只今売買交渉中です」と嘘を告げることで、他の不動産業者付の「買い主」を遠ざけるのです。当然ですが、こうした行為が横行すれば物件はいつまでたっても売れなくなります。

 こうした業者は「売り物件」を市場で長い間さらしものにした挙句、「売り主」に対して「もっと売却希望価格を下げないと売れませんね」などと圧力をかけたりもします。売れる機会を自ら逸しているにもかかわらず、結果として「売り主」にはいくらでも「値引き損」をさせることにもなるわけです。

 とりわけ問題なのは、全国的に有名な大手業者にこそ、こうした囲い込み手法をとる業者が少なくないことなのです。流通市場シェアに一定の影響力を有するがゆえに、その過信から物件の囲い込みに走るのです。

 不動産を売ろうと考えている人は、専属売却委任契約が詐欺まがいの契約になりかねないと心得、絶対に結ばないようにしてください。諸外国では禁止されているのに、日本で野放しなのがそもそも問題なのですが、行政が放置している以上は自衛するよりほかないといえるからです。

(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)

 

 

 

2015.05.17

 連載

神樹兵輔「『縮小ニッポン国』のサバイバル突破思考!」

http://biz-journal.jp/2015/05/post_9969.html

 

アパマン経営は超危険!不動産業者の悪徳商法が野放し 名ばかり管理で暴利ピンハネ(後編)

文=神樹兵輔/マネーコンサルタント

【この記事のキーワード】マンション, 不動産, 住宅

Thinkstock」より

30年間一括借り上げ契約」のあくどい手口

 

 

 本連載の前回記事で、有名不動産業者も手を染める、詐欺的な物件囲い込みの実態を紹介しましたが、タチの悪さでその上を行くといえるのが、遊休地に新築のアパートやマンションを無理にでも建てさせようと画策する不動産業者やハウスメーカーです。30年間一括借り上げの長期契約(サブリース)で家賃保証をした上、「入居者募集から入居者のクレーム処理、メンテナンス対応まですべてウチでやりますから、安心して長期ローンを組み、アパートやマンションを建てましょう」と地主向けに呼びかける広告をよく見かけます。中には「自己資金が少なくても、土地がなくても、ローンでアパート経営ができる」と呼びかける業者まであります。

 

 賃貸住宅においては空き家率が23%にまで上り、ほぼ4軒に1軒が空き家というのが現状です。これから投資用アパートローンなどで長期の借り入れを行って新築賃貸住宅を建てることには、多大なリスクが存在するわけです。

 

 にもかかわらず細かい文字で書かれた契約書をよく読まずに、営業マンに言われるままに「30年借り上げ契約で安心」とばかりに、多額のローンを組んで新築アパートやマンションを建ててしまう安易な人が後を絶ちません。その結果、家主が業者を訴える「サブリース訴訟」は年々増えているのです。

安普請のアパートを建築して高く売る

 

 

 こうした業者は、アパートやマンションの建築費で儲けることが主眼です。家主からのサブリースで儲ける収益のほうは、前述の通りの空き家状況ゆえに期待できないからです。当初から周辺の相場家賃の8090%前後の家賃設定でサブリース契約をうたっていますが、実際には保証家賃が50%前後以下になるように「免責期間」が設けられ、「2年ごとの賃料改訂」で家賃がほぼ確実に値下げされる契約です。もちろん、礼金・更新料といった付随金も業者が収受します。

 おまけに業者は恣意的にいつでも「解約申し入れ」をして、一定期間後に解約にもっていける契約をしているのがふつうなのです。物件完成後、3カ月間は入居者がいても家主に家賃が入らない「免責期間」や、入退去時にも2カ月間の「免責期間」が設けられ、さらに2年ごとに保証家賃は下げられるのですから、毎月のローン支払いに追われる家主にとっては危険極まりない契約です。しかも設備補修も業者が行うことが大前提ですから、家主が他の安い業者を使って補修などしようものなら即解約です。

 はっきりいって、業者は安普請の物件さえ完成させて家主に引き渡したら、家主のほうから「解約」してもらうことを狙っているといっても過言でないわけです。実にあざとい「30年一括借り上げ契約」ですから、騙されないように契約条項をすみずみまでよくチェックするよりないでしょう。

「名ばかり管理」横行

 

 

 賃貸不動産業界では、すでに物件の78割が「管理物件」と呼ばれる賃貸物件になっています。ただし、ここでいう「管理」とは、マンションのメンテナンスや清掃を定期的に行い、管理人を常駐もしくは巡回派遣している管理会社が行っている通常の「マンション管理」とは、まったく別物の「管理」のことをいいます。

 ほとんど何もしないのに「管理」と称して、アパートやマンションなどの1室や1棟物を家主から「委託管理」と称して預かり、家賃の代行収受、入退去時の補修、入居者とのクレーム対応などを行うと称し、家賃の5%前後のピンハネを行うことをいいます。これが街の不動産業者の生命線といってもよい、安定的な収入源になっています。

 現在では、家賃保証会社という存在が普及しており、入居の際に入居者は保証料を払って契約済みゆえに、家賃滞納が発生しても「管理物件」の家賃回収は問題なく保証会社が対応してくれます。また、入居者からのクレーム対応は、電話一本で専門業者に任せられますし、入退去時のリフォームにおいても、業者に依頼して処理し、かかった費用の23倍に水増しした金額を家主に請求すればよいだけです。

「管理」と称しても、物件の見回りも清掃も行いませんから、家主が遠方に住んでいてチェックもできなければ、物件は荒れ放題で、ゴミが散乱していても「管理」が行われているわけです。長年、賃貸不動産経営に携わる家主さんから聞こえてくるのは、「不動産業者に管理を任せたといっても、客づけするだけで、あとはほったらかし。入居者のクレームなどにも迅速に対応せず放置プレイが続き、入居者が怒って家主に電話をかけてくるケースも少なくない」というのですから、とんだ「管理」の実態なのです。

街の不動産業者は「家主」と「入居者」に寄生?

 

 

 なにしろ、街の賃貸不動産業者は、せいぜい従業員数も56名程度でやっているところがほとんどです。それでいて管理物件が200500軒もあるというのですから、不労所得を狙ったあざとい商売になっているわけです。

 

 こうした実態なのに、なぜ「名ばかり管理」を依頼する家主が多いのかといえば、「客づけ」に便宜を図ってもらいたいからという昨今の「空室・空き家問題の悩み」が家主の頭に横たわっているからだといいます。そのため、賃貸不動産業者に管理を依頼せず、自分で見回りから清掃を行う自主管理の家主は、自所有物件の入居者募集の際に、「広告料」の名目で余計な手数料を支払わなければ「客づけ」をしてもらえないという悲劇も起こっています。つまり、街の不動産業者は、市場に出回る物件をまんべんなくお客に紹介せず、自社が「管理」している物件しか斡旋しないという「囲い込み現象」がここでも起きているわけです。消費者にとっては、こうした現実は不利益です。

 おまけに、街の不動産業者は、家主がシリンダー交換済みの物件であっても、入居者から勝手にシリンダー交換代(15000円程度)を徴収して鍵を交換したり、家主が頼んでもいないのに自社に手数料収入が入る火災保険に契約させ、入居の際の初期費用をつり上げます。

「空室・空き家問題」の深刻化とともに、不動産業界は売買においても賃貸においても、ますます混迷を極めていくことが予想されるのです。行政の厳しい監督と規制が求められてしかるべきでしょう。

(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)

 

 

タワーマンション 東京五輪後にやってくるスラム化の恐怖

2017.03.29 07:00

http://www.news-postseven.com/archives/20170329_505647.html

 

 

【すでに「売り」が優勢になっている中古タワマンも】

 

 世の中で初めてタワーマンションが分譲されたのは、住友不動産が1976年(昭和51年)に埼玉県与野市で建設・分譲した与野ハウスといわれている。

 以降、タワマンは首都圏では湾岸エリアなどの工場跡地を中心に続々と建設され、今や都内でのありふれた光景の一つになっている。

 不動産経済研究所の発表によれば、2004年以降2016年までの13年間に首都圏で供給された超高層マンションは累計で573棟、177850戸に及ぶ(2016年は推定値)。同期間に首都圏で供給されたマンション戸数(697418戸)の、なんと4戸に1戸が、いわゆるタワマンなのだ。

 この煌びやかな、都市居住の象徴ともなったタワマンであるが、その内部を覗いてみると、タワマンならではの様々な問題が浮かびあがっている。

 タワマンは眺望の良い高層階ほど価格は高くなる傾向にある。地上40階以上になるタワマンともなるとその階層による価格差は著しく、低層階と高層階では分譲価格も坪単価で2倍から3倍になる事例も珍しくない。

 高層階は眺めが良いだけでなく、相続税評価額の圧縮に使う層や中国人をはじめとした富裕層の投資マネーが入り込むことによって、高額で取引される傾向にあるからだ。分譲する側のデベロッパーにとっても、同じ建設費で建てた棟の中で、高層階ほど高値で分譲できるタワマンは利益率の高いドル箱というわけだ。

 その結果、問題となっているのが高層階住民と低層階住民の対立だ。

 昨年10月から12月に放映されたTBSテレビのドラマ「砂の塔~知りすぎた隣人」でも話題になったように高層階セレブリティと低層階の資産格差を背景とした、住民間のいやがらせや子供へのいじめといった住民対立がクローズアップされている。

 高層階の住民からすれば、住宅ローンをたんまり抱えて、「無理くり」入居してきた一般庶民である住民の存在は気に入らない、低層部の住民からみれば、必要のない豪華な共用施設を独り占めして我が物顔でふるまう高層階住民のいやらしさが癪に障るというわけだ。

 しかし、この話はあくまでも現状での話だ。別にお互い「好き」で買ったマンションなのだから入居後の争いなど他人からみればどうでもよい話ともいえる。

 問題はこれからだ。タワマンの高層階は「投資」として買った人が多い。つまり、投資は「入口」があれば、必ず「出口」=売却することによって完結する。湾岸エリアのタワマンを買った多くの外国人投資家は東京五輪が終わるまでに、自分たちの投資を確定させようとする。相続税の節税目的で買った人は当然だが、相続発生後はこの物件に用はない。

 すでにこのエリアの中古マンション市場では、彼らによる「売り」が優勢になっている。新築のタワマンが折からの建設費の高騰により分譲価格がどんどん上がる中、中古市場では「売り逃げ」を図る投資家が繰り出す大量の売り物件で溢れている。

 新築物件への影響は甚大になる。東京五輪後の東京の将来について楽観的な人は少ない。首都圏ですら、今後は人口が減少に向かうことは間違いなく、激しい高齢化社会の到来は首都圏においては、実はこれからが本番と言われている。

 東京がアジアの金融センターになることを唱える政治家は多いが、外国人の金融マンの間ではジョークとしか聞こえないだろう。彼らは口をそろえて「アジアの金融センターはシンガポールあるいは香港」と断言する。

 ということは、東京五輪後に東京タワマン投資の掛場に新たに登場する投資家は少ない。相場は「下げ」となる。もともと東京五輪目当てで上がってきたタワマン高層階相場は、大量の「売り」の出現により暴落するだろう。

 さらに国税庁はタワマンの相続税評価額を見直し、これまで階層差に関わらず一緒だった評価に格差をつけた。相続税対策としての妙味も減じられてしまったタワマンの高層階をあえて高い価格で買おうとする人は激減するだろう。

 この相場下げの影響は、本来は高層階とは縁のないはずの低層部の住戸の中古相場の足を引っ張ることにもなるだろう。

 ここまではこれから数年間の話。そして大問題が、東京五輪以降で顕著になるタワマンの大規模修繕問題の話である。

タワマンの建設が進んだのは1995年以降と言われる。大都市法が改正され、都心部の容積率が大幅に緩和された結果、大量のタワマンが湾岸部を中心に供給されてきた。そのマンションの多くが築25年を超えるのが東京五輪以降だ。

 実はタワマンの大規模修繕については工法が確立されていない。

 外壁の修繕をするためにも足場が組めないのでゴンドラによる作業になる。高層建築物では、上層部は穏やかな日でも強風であることが多い。作業面積は限られ、天候を見ながらの作業となり工期は通常の作業の3倍以上かかるといわれ、そのぶん負担金額は通常のマンション工事と比べて大幅増となる。

 エレベーターも高層用は通常のマンションと比べて高性能であるぶん、更新する場合のコストは高額になる。しかもタワマンはエレベーターが一棟あたり15基くらいある。地震に対して「安心・安全」を謳う非常用発電機も更新の場合は1基あたり数千万円から1億円にもなる。

 こうした負担について、デベロッパーはマンション分譲時に明確な説明はしていない。むしろ管理費・修繕維持積立金が安いのは「戸数が多いから」という一見わかったような説明をしているが、これらの費用が年々急上昇していく実態が世の中で明らかになるのはやはり「アフター2020」ということになる。

 当然、これらの費用を負担するのは区分所有者自身だ。投資家に見捨てられた高層部には、「逃げ遅れた」外国人が空き住戸を自国民に使わせ、住棟内のトラブルが増えるだろう。管理費や修繕維持積立金の滞納が頻発することも心配だ。彼らが国に帰ってしまえば、そのあとを追いかけるのは至難の業だ。低層部では無理なローン設計で買っていた「背伸び」組の住民たちの中に、ローンが払えず破綻する人たちが発生するかもしれない。

 管理組合は人種の違い、経済力の違い、年齢層の違いからくる阿鼻叫喚のスラム状態になす術がない。そんなタワマンの未来を今から予見している人は少ない。

 しかし、この事態は決してオカルト小説ではない、間近に迫った問題なのである。

牧野知弘(オラガ総研代表取締役)

まきの・ともひろ/東京大学卒業後、現みずほ銀行、ボストンコンサルティンググループを経て三井不動産に入社。「コレド日本橋」など数多くの不動産買収、開発業務を手掛ける。2009年にオフィス・牧野ならびにオラガ総研を設立し代表取締役に就任。ホテル・マンション・オフィスなど不動産全般に関する取得・開発・運用・建替え・リニューアルなどのアドバイザリー業務を行なう。著書に『空き家問題──1000万戸の衝撃』『2020年マンション大崩壊』『2040年全ビジネスモデル消滅』などがある。

 

 

富裕層の節税術にメス、もはや国外にも逃げ場はない

ダイヤモンド・オンライン 1/4() 6:00配信

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170104-00112725-diamond-bus_all

渡航先の一番人気はシンガポール

 合法的に相続税を払わず子孫に資産を残そうと、富裕層は次々とタックスヘイブンへ渡り、慣れない生活に苦労しながらその時を待つ。一方で国税も切り札を懐に忍ばせ、時機をうかがう。(「週刊ダイヤモンド」2016108日号特集「国税は見ている 税務署は知っている」より)
 相続人と被相続人が5年間海外に住めば、相続税は日本国内の資産にしか課税されない──。実はこのルールは、日本で築いた巨万の富を、合法的に相続税を払わず、そっくり子孫に残したい富裕層にとっては広く知られた税制の穴だった。
 実際にここ数年、富裕層たちはこの穴を擦り抜け、築いた富と共にわれ先にと海を渡った。そして相続税から逃れ、晴れて帰国できる日を夢見て、慣れない異国での生活を送っている。
 渡航先の一番人気はここでもシンガポール。相続税と贈与税がないだけでなく、生活インフラが整っているため、タックスヘイブンの中では格段に住みやすいからだ。そのシンガポールに親と子が5年以上住み続け、その上で贈与や相続を行えば、無税となるわけだ。
 だが、国税庁は5年間という期間を、10年間に延長する方向で最終調整していることが、本誌の取材で分かった。
 「すでに主税局に要望を出している。早ければ今年度の改正で議論され、いずれ決着するだろう」(国税庁幹部)
 富裕層たちが擦り抜けてきた穴を、国税庁は限りなく小さくしようと動きだしているのだ。
 現地に与える波紋は大きそうだ。 シンガポールで日本人富裕層をサポートする税理士は、「出国税導入後、移住を検討する富裕層の相談は減ってはいたが、5年間が10年間に延びれば、富裕層の移住は完全についえる」と話す。
 庶民からすれば、10年間に延長されたとしても、莫大な資産と共に、悠々自適にシンガポールで暮らすことをうらやましく思ってしまう。だが、実際は苦痛でしかないという。 「弊社のお客さんにも5年住んで相続税を逃れようとしている方はいるが、暇で仕方ないと嘆いている。こちらでは娯楽といってもゴルフとカジノくらいしかなく、四季もない蒸し暑い単調な日が続くと、半年もすれば飽きてしまう」 こう話すのは現地の移住コンサルタントだ。

 海外在住者、つまり日本の非居住者として国税庁から認定されるには幾つかの条件があるが、1年のうち半分である183日は国外に住むことが最低条件。その客は毎日、一日の終わりにエクセルシートにシンガポール滞在日を打ち込み、日本に一時帰国できる日が来るのを指折り数えているという。
 こうした現地の声を聞けば、10年間への延長がいかに有効かが想像できる。シンガポールでこうなのだから、その他のタックスヘイブンは推して知るべし。裏を返せば、国税庁はそれだけ富裕層に白旗を揚げさせようと必死なのだ。

 国税庁のトラウマ 武富士事件が最大の原動力
 国税庁を突き動かすのは、言うまでもなく税の公平性を保つことだ。だがそれ以上に、国税関係者が今でも苦々しく思う、ある敗北の記憶が最大の原動力だと指摘する声は多い。 1999年、消費者金融最大手だった武富士の創業者は、オランダ法人を介して香港在住の長男へオランダ法人株と武富士株を譲渡した。海外資産を海外在住者に譲渡しているため、日本の課税ルールは及ばなかった。
 「隙を突かれた、という空気が国税庁にまん延していた」
 ある国税OBは当時を振り返る。 翌年、その隙を埋めるべく冒頭の5年ルールが作られたのだが、後の祭り。2005年、国税庁は創業家に贈与税の申告漏れを指摘し、合計1600億円の追徴課税に踏み切ったものの、11年、最高裁は追徴課税を取り消す判決を言い渡した。創業家は追徴課税で1600億円を納付していたため、判決後に国税庁は還付加算金を加えた総額約2000億円を創業家へ還付。完全な敗北だった。
 国税OBで、国際税務の専門家である立石信一郎・エヌエムシイ税理士法人税理士は、国税の最近の動きを「すぐに法律を変えて対応している。隔世の感がある」と舌を巻く。 もはや国外に逃げ場はない──。10年間へ延長する国税庁の“宣戦布告”が聞こえてくるようだ。

週刊ダイヤモンド編集部

 

自己破産する家主が増加

自己破産する家主が増加 :: 全国賃貸住宅新聞

20161205|経済

業者にカモにされた医者や外資系サラリーマン

http://www.zenchin.com/news/2016/12/post-3088.php
金融緩和で融資条件が緩くなり、新たに不動産投資を始めたサラリーマンが条件の悪い物件を購入し、破産する問題が浮上している。
共通するのは、医者や外資系企業勤務者など高所得者だ。
その裏で、
金融機関と不動産会社の癒着や、悪質なコンサルティング会社も暗躍している。元金融機関出身のAオーナーのもとに破産寸前の家主が相談に来るようになったのは2015年の終わりからだ。
これまで78人から相談を受けたという。
「属性は見事に2つに分かれる。年収2000万円以上の外資系企業のサラリーマンか、勤務医だ。奥さんから不動産投資を始めたいと頼まれ、不動産会社主催のセミナーに行きはまってしまう」とAオーナーは話す。

相談者の50代勤務医は、5棟、合計85000万円の賃貸住宅を購入したが、空室が増え、毎月の持ち出しが100万円以上になっていた。
保有する資産をすべて売却しても手元には2億円の借金が残ることがわかり、Aオーナーから弁護士を紹介してもらい、自己破産の手続きをとることになった。なぜ、自己破産に追い込まれるような不動産投資をしてしまったのか。
「金融機関の選び方に問題があった」とAオーナーは指摘する。

不動産会社から紹介された金融機関は自己資金不要、変動金利で借入期間30年、金利は3.5%以上で場合によっては4.5%という融資条件を提示した。
購入する物件は地方のRC造。金融機関が積算価格を基に担保評価をするため、不便な立地で築年数が古くても新築時に建設費が高いRC造はアパートよりも高く評価され融資がつきやすいためだ。
Aオーナーは「相談者はみな口をそろえて金融機関がお金を貸してくれたからよい物件だと思ったというが、ある銀行は3日でアパートローンの融資をつける。物件調査も行っていない場合もある」と打ち明ける。ただ、不動産投資は最終的には経営者である家主自身の責任だ。
Aオーナーは「株や投資信託のような感覚で家主業を始めるケースも多いが、自己資金の範囲内でやっているわけではない。長期ローンを組む賃貸事業はずるずる続いていく。購入する前に物件の見極め方を勉強する。物件契約時には管理契約書をしっかり精査し、どういう賃貸管理をしてくれるのかを確認すべきだ」と警告する。

金融機関の家主への行きすぎた融資が、来年には金融庁の指導対象になるとみる関係者もおり、今後の動向に注目していきたい。

 

 

 

無秩序なアパート融資が増加 ローン払えず赤字に…リスク背負わされ泣く大家 - SankeiBiz(サンケイビズ)

http://www.sankeibiz.jp/business/amp/161208/bsc1612080500008-a.htm

都内のアパート。人口減少社会にあってアパマン投資が活発化するというひずみ現象が生じている(ブルームバーグ)

 以前は畑だらけだった東京郊外・多摩地域のある町は、今やアパートが道路を挟んで立ち並んでいる。「空室」や「募集中」の看板、雨戸が閉め切りになった部屋もある。この地域で20年ほど前から賃貸アパート12棟を夫婦で保有・経営する50代の女性は、周りではどんどん新しい物件が建っていると、競争相手の増加に顔を曇らす。10月に入り一括借り上げをしている管理会社から、1棟(2戸)の月額約20万円の賃料を6.5%引き下げるとの提案があった。女性は、入居がなかなか決まらないところも出てくるから、家賃を下げるのは当然だと話す。

家賃引き下げ圧力

 人口減少が進む日本で、アパートやマンションの大家が急増するという不思議な現象が起きている。昨年の相続税改正で節税目的の建築が増えているのに加え、貸し出し難の地方銀行がアパマン融資に力を入れていることが背景にある。多額の資金を投じて建てたものの供給過剰で空室が増え、家賃引き下げに頭を抱える大家も少なくない。

 国土交通省によると、住宅着工戸数は貸家が9月まで11カ月連続で増加。前年同月比の伸び率は12.6%と、持ち家(1.4%)を上回った。調査会社タスによると、アパートの空室率は少なくとも2013年以降は30%前後で推移していたが、昨夏から悪化し始め、今年9月時点では神奈川県37%、東京23区と千葉県が35%に達している。

 タスの新事業開発部長、藤井和之氏は「相続税対策が目的のアパート新築が影響している可能性がある」と述べた。資産を現金で保有するよりも、土地・建物の方が相続税の課税評価額が低く、アパート経営には節税効果がある。15年の税改正で課税対象者が広がったり、税額も増えたことで、アパート経営やマンション購入の動きに拍車が掛かった。国税庁の発表では、15年の大家の数(不動産所得申告者数)は3年連続増加の326万人。3年間で約3万7000人増えた。

 不動産コンサルティングを手掛ける青山財産ネットワークスの高田吉孝執行役員は「今年に入り賃貸アパートの空室や賃料の下落について、オーナーからの相談が増えている」と語った。アパート乱立を引き起こした不動産投資ブームは、日本銀行の超金融緩和を背景としたカネ余りや金融機関の融資姿勢とも関係がある。

 「年収の割に認められた融資額が多く、審査期間も1カ月弱と短かった。予想以上に融資のハードルは低かった」。都内や北海道などの物件で累計3億円以上の不動産投資を行ってきた会社員の田村惟人氏(32)は、ある地銀の名前を挙げて、昨年購入した物件では簡単に資金を借りられたと話す。金利は4%台だったが、今年に入り別の銀行から1%台で借り換えないかと提案を受けたという。

 タスの藤井氏は「地銀を中心に金融機関はマイナス金利で利ざやが縮小し、さらに新たな貸出先の確保も難しい状況だ」と述べ、アパマン建設需要に活路を見いだしているとの見方を示す。日銀によると、今年7~9月期の国内銀行の「個人による貸家業」への新規貸出額は1兆692億円に達し、開示が始まった09年4~6月以来、最高。地域銀行の貸し出しに占める貸家業向け(15年3月末)の比率は9.4%、信用金庫は15.8%だった。

 地銀が不動産会社と組んで地主対象にアパート建設のセミナーを開くなどの動きも活発化している。日銀は3月のリポートで、世帯数減少で賃貸住宅の入居戸数は25年ごろから減少に転じていくと分析。需給ギャップはますます拡大しかねず、金融機関が融資の実行に際して賃料収入の今後の変更を見込んでいないケースがあるとして、収支見通しの検証が必要と指摘している。

 一部の業者による強引な勧誘やリスクの説明不足などでトラブルに発展するケースも目立ち始めた。不動産兼建設業者が地主にアパートを建築させ、一括借り上げして大家に賃料を支払うサブリースと呼ばれる事業形態をめぐり、国民生活センターには苦情が寄せられている。同センター相談情報部の保足和之氏によると、業者は家賃収入が保証されると説明していたのに、実際には家賃をどんどん引き下げ、大家がローン支払いを賄えず赤字に陥るケースもある。

リスクは負わされ

 サブリース問題に詳しい三浦直樹弁護士は、業者は工事を受注すれば売り上げが立つので「需給を気にかけず、空き地があれば焼き畑農業的に営業をかけてしまう」と指摘。「通帳を眺めているだけでいいんです」などとセールストークでアパートを建てさせ、その後の経営リスクを大家に転嫁する構図があると話す。 タスによると、今年第2四半期の東京市部のワンルーム賃料は04年と比べると1割弱下落。23区でもワンルーム、1Kといった単身者向けが下落しており、藤井氏は「アパートは供給過剰でバランスが崩れ始めている」と分析する。それでも金融機関の間では「オーナーにはアパート以外の資産があるので、ローンは破綻しないと危機感が少ない」という。

 第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏は、アパマン融資への傾斜について「知見がない人までアパートに投資していて、リスクコントロールがうまくいかない。集計値として金融機関のダメージになる。このまま低金利が続くとリスクが蓄積する可能性は否定できない」と注意を促す。

 郊外にまで広がるアパート建設の動きを熊野氏は、こう警告する。「少子高齢化の中で郊外に住宅地をつくって、道路を建設することが日本の将来像からみて正しいのか。低金利の後押しが無秩序を生み出し、社会システムが非効率になるのではないか」(ブルームバーグ Katsuyo Kuwako、Tesun Oh)

 

 

 

税理士に租税回避ノウハウ・スキームを国税に出せと・・・

平成29年度税制改正予測~課税逃れ対策としての義務的開示制度~

旬刊速報税理 20161121日号 

 政府税制調査会において、「義務的開示制度」の導入が検討されていると。

  これは、OECDが公表した「BEPS最終報告書」の行動12の勧告によるもの。 この「義務的開示制度」とは、会計士や税理士等のタックス・プランニングのプロモーターやタックスプランニングの利用者が、一定のスキームや取引を税務当局に報告する制度のこと。 

 開示する内容は次。 

 1)スキームを利用する納税者及びプロモーターの詳細

  2)スキームの詳細 

 3)該当する開示基準 

 4)該当法令 

 5)予想される租税上の便益 

 6)取引に関わる全ての関係者の詳細 

 OECD加盟国の中では、既に、米国、カナダ、南アフリカ、英国、ポルトガル、アイルランド、イスラエル、韓国が類似の制度を導入済み。

 

 

以下記事転載

節税法は後出しじゃんけんに負ける | 川本眼科(名古屋市南区)

院長のつぶやき 節税法は後出しじゃんけんに負ける2016124

http://www.kawamotoganka.com/blog/2602/

タワーマンションを使った節税方法が使えなくなるらしい。
眺望の良い高層階のほうが世間では高値で取引されているのに、
税務上は高層階も低層階も固定資産税評価額が同じなことに目をつけた節税。
一時、タワーマンションを買いませんかと売り込みがすごかった。

この手の節税方法は、世間に知れ渡って流行し出すと税務署がルールを変更する。買っても節税効果が得られるのは何年も先な訳で、ルールが変われば節税は失敗。まさに捕らぬ狸の皮算用というやつだ。以前は逓増定期保険による節税をしつこく勧められた。損金として処理でき、含み益が貯まるとかいう話だった。これも節税効果が得られるのはずいぶん先の話だった。
預金なら好きなときに自由にお金が使えるが、保険は長期間使い道を制限される。それでは困るのでお断りした。
案の定、その後国税庁が通達を出し、節税上の有利さはほとんど消えた。

ういった節税手段は、ほとんどの場合、次のような条件がつく。
「税務署が今までの取扱いをいつまでも変更しなければ」

実際には、税務署は税金を取りはぐれるのは困るので、次々に逃げ道を塞ぐ。
つまり、後になってルールが変わり、結局節税できないという事態に陥る。

私も税金は安い方がうれしいが、節税法の大半は信用していない。
国税庁は後出しじゃんけんができるのだから、勝てるはずがない。
うまい話には注意せよ。
真面目に働き、真面目に税金を納めるのが一番だと思っている。

(2016. 1.24)

 

2016110411:00

タワマン増税 アパート空室増で不動産デフレが進行

カテゴリhttp://thutmose.blog.jp/archives/67050116.html

投資・人物 ビジネス・マネー・市況 ビジネス

タワマン節税、アパート経営、マンション投資が不動産ブームの3つの柱だった引用:https://pbs.twimg.com/media/CZcNABOUEAE2PIO.jpg
タワマン節税にストップ
国税庁はタワマン節税にストップを掛けるため、高層マンション上層階への課税を強化する方針を決め、販売に影響するとみられています。
固定資産税と相続税を引き上げるのは20階建て以上の高層マンションで、近年節税になるとしてタワマン購入が人気になっていました。タワーマンションが節税になる理由は課税の基礎になる評価額が上層階でも下層階でも同じ事で、実際の販売価格は上層階が高いのに課税額が同じだった。         タワーマンションの販売価格は最上階が最も高く、平均価格は1階の1.5倍なので、特に最上階を購入すると節税効果が大きかった。特に相続税対策では現金のまま相続するよりも、タワーマンション最上階を購入すると、かなりの節税になったと言われている。総務省は低層階は減税、中層階は同額、上層階は増税になるように、評価額を見直すとしています。
新しい税制は18年以降に引き渡す新築物件に限定し、混乱を招くので既に建っている物件には適用しない。20階建て以上のタワーマンションは規制緩和された2000年代以降に急増し、全国で1200棟を超えているが、
課税強化でブームが終わる可能性がある。そして不動産業界もアベノミクスの過剰投資で物件がだぶついていて、空室率が増加しバブル崩壊が囁かれている。近年マンション投資ブーム、アパート経営ブームというのがあって供給数が激増したが、人口が増えないので需要は増えていません。新築アパートと借家が急増し、当然の結果として供給過剰になり、地方の空室率は20%に近づいています。アパマン投資ブームは空室率10%以下のときに始まり、10%で収益を想定しているので、空室20%では採算割れになります。
アパマン投資ブーム
アパート投資ブームもタワマンと同じく
相続税を節約できるとして人気を集め、現金で相続するより納税額が少なかった。そのうえ賃貸アパートという収益資産を手に入れるので、毎年収益を発生してオーナーとして起業できると言われていました。銀行もアパート起業に積極的で、低金利で融資してアパートを立てまくり、日本中でアパート余りになった。日本の賃貸物件数はアパート、マンションの合計で増え続けていて、特にマンションの戸数増加が過剰感の原因になっている。新築アパート着工件数は毎年30万戸程度で増えていないが、問題はマンションが建て続けられていることにある。アパートは築20年を超えると市場価値が大きく低下し築30年で借りては居なくなるが、マンションは築40年以上でも賃貸に出されていて減少しない。欧米では古いマンションをリフォームすれば価値が回復するが、日本では「築10年以内」が絶対的な価値で築年数が増えると価値はなくなる。
マンション投資もアパート経営も最初は高い家賃で空室はでないので儲かるが、築年数が増えるほど採算性は悪化します。20年か30年経つと修繕費が増えていくが、大抵のマンションでは十分な修繕費を積み立てていないし、アパートはオーナーが自腹で修繕する事になる。
老朽化した物件は非常に低い家賃で賃貸されるので、家賃相場を下げてさらに経営を苦しくし、悪循環が進行します。こうして老朽化してしまったアパートを抱えたオーナーは、期待した収益を上げられずに失敗する例も出てきます。借金で投資をした人の返済不能が増えていて、「アパート経営で安心の老後」などのキャッチコピーは裏切られるケースも多い。

 

 

 

 

金融・投資・マーケット週刊現代 大損する人続出中!マンション投資と優雅な「大家ライフ」の落とし穴銀行のカモになる素人たち

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昨年より相続税が引き上げられたことに加えて、マイナス金利の影響もあって、不動産投資を始める人が増えている。だが、そこには優雅な「大家ライフ」とは真逆の苦労が待ち構えている。いいのは最初だけ

4年前に親の遺産を3000万円ほど相続しました。するとどこから聞きつけたのか、銀行からは投資信託や保険商品を買わないか、不動産会社からはワンルームマンションを買わないかと、勧誘の電話がかかってくるようになった」

こう語るのは都内に住む石山晴幸さん(仮名、67歳)。とりあえず、退職金を預けている銀行に相談に行ったが、投資の経験も少ないし、よくわからない金融商品を買うつもりはなかった。そこで銀行に勧められたのが、不動産投資だった。

「現金で預けても金利が低くて利子が付かない。それなら、遺産を頭金にしてアパート経営でも始めてみてはいかがですかと言われたのです。アパート経営なら毎月、決まった定期収入が得られるし、相続税対策にもなる。いくらでも融資できますよと。

大家になるというのは、ちょっと憧れましたし、やってみようかという気になった。それが失敗の始まりでした」

石山さんは不動産屋をいくつか訪れ、土地を探した。結局、練馬区に適当な物件が見つかり、相続した遺産から頭金を捻出し、銀行から6000万円の融資を受けてアパート経営に乗り出した。1DKの間取りで家賃が12万円の部屋が4つ。

48万円の家賃収入があるので、月々40万円ほどのローンの支払いも大丈夫だろうと踏んでいた。ところが……。

確かにスタートした時は、不動産屋も入居者を紹介してくれて、順調だったのですが、昨年になって近所に似たようなアパートが次々と建った。すると入居者のなかに新しいところに移りたいという人が出てきた。そこで交渉の結果、家賃を1万円下げることにしました。

そうこうするうちに、他の空き部屋も出てしまい、ローンの支払いをするのに、自分の年金やら貯金やらで埋め合わせるしかなくなった。ローンはまだ半分以上残っているのに、このまま支払い続けられるのか、不安で仕方がありません」

いま、日本は歴史的な低金利にあり、行き場を失った投資マネーが不動産業界に流れ込んでいる。その一方で、石山さんのように、銀行や不動産屋の甘い言葉に乗せられて不動産経営を始めたものの大きな損を出す人が続出している。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦氏が語る。

「銀行はカネ余りの状態なので、頭金がないという人にも不動産という担保があれば、わりと簡単におカネを貸しています。今年初めにマイナス金利が導入されてからはなおさらです。平成バブルのころは、担保があるからといってワンルームマンションやゴルフ会員権を購入する人向けに融資を増やしましたが、結局バブルが崩壊して、銀行は多額の不良債権を抱えることになりました。

それで懲りたはずなのですが、かつてと同じことをくり返している。バブル崩壊後の不良債権処理で苦労した銀行員たちも50代以上になっていて、銀行本体に残っていないのでしょう」

60歳以上の人が不動産投資を始める大きなきっかけになるのが、相続税対策だ。賃貸住宅が税対策になるのは、相続税の計算をする際の優遇があるから。一般の不動産や更地は路線価がそのまま相続税評価額になるが、貸家の場合は評価が20%くらい下がる。

「銀行からおカネを借りて賃貸住宅を建てると、さらに節税効果は高くなる。イメージとしては現金で持っているよりも4050%、更地よりも3040%の節税が期待できるでしょう」(深野氏)

だが、いくら節税ができるからといって、アパート経営で躓いてしまえば、もともとあった財産を切り売りすることになり、本末転倒だ。現在、不動産市況は停滞気味であるにもかかわらず、アパートの着工件数は増え続けている。

国土交通省によれば、今年上半期の新設住宅着工戸数は前年同期比で52%増だったが、なかでも貸家の着工戸数の伸びが大きく、87%増だった。

その一方で首都圏では賃貸住宅の空室率が30%以上あると言われています(不動産調査会社「タス」によると23区内で3368%)」(深野氏)

みずほ証券金融市場調査部チーフ不動産アナリストの石澤卓志氏は、「地域によっては家賃が高騰しすぎたところが出ている」とみる。「昨年1月から相続税が増税されたこともあり、貸家が急増してきました。しかし利便性と家賃のバランスが取れない地域が出てきた。具体的にいうと神奈川県の一部は需給のバランスが崩れている。一方で埼玉、千葉など価格帯が低いエリアでは、貸家の需給関係は比較的良好です」

地方の医者が失敗している

アパート経営に加えて、相続税対策で注目を集めてきたのが、タワーマンションへの投資だ。タワーマンションはもともと一戸当たりの土地が小さいので課税される額が小さい。さらに高層階に行けば行くほど物件価格が高くなるのだが、課税評価は面積によって配分されるので低層階を買うより高層階を買うだけで節税効果が期待できた。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が語る。

「たとえば同じ間取りだと高層階の1億円の物件と低層階の7000万円の物件で、相続税の評価額は変わらない。固定資産税も変わりませんでした。

しかし、ここにきてタワーマンションの税制の歪みを正そうという動きが出てきた。政府は'17年度の税制改正大綱で、高層階の固定資産税を高めに見積もる計算法の導入を決定している。このように税制なんてコロコロ変わるものです」

税制の変更以外にもタワーマンションの盲点はある。

「新築のキラキラした物件だからといって、安心してはいけません。三鷹駅から徒歩3分くらいのところに大手不動産会社が分譲したタワーマンションがあります。'10年の竣工でしたが、東日本大震災で大きく壊れるところが出た。上層階では扉が閉まらなくなってしまった部屋もあったそうです。

管理組合が怒って、建設会社に修繕を求めましたが、地震のせいだから補償できないと要求は突き返された。あまり騒ぐとこの物件の悪評が広まりかねなかったので管理組合は泣き寝入り。各戸から修繕費を50万~100万円ほど集めたうえで、修繕費1億数千万円を支払いました」(榊氏)この物件は、今年の夏にも台風の影響で3階部分の外壁タイルが崩れ落ち、通行人が負傷する事故も起きた。ちなみに建設会社は、昨年大きな話題になった横浜の傾きマンションを作った会社である。「まだ表沙汰になっていないだけで、欠陥で揉めているマンションはいくらでもあります。あまり騒ぐと資産価値が下がるので、住民も黙っているケースがほとんどなのです」(榊氏)アパートを建てるにしろ、マンションを買うにしろ、不動産会社の言いなりになって物件を選び、銀行の勧めるがままに融資を受けていたら、ろくなことにはならない。都内の不動産会社社長が、業界の論理を語る。

「不動産屋やゼネコンは遺産相続の情報を得ると、『入居者は世話するから』といってアパートを建てさせようとします。最初は面倒を見てくれるかもしれませんが、3年も経つと何もしてくれない。それもそのはずで、アパートの建築費で儲けるのが不動産屋の商売なのだから、あとは知ったことではないのです」

ワンルームマンションへの投資なら、価格も安いし気軽に始められると思っている人もいるかもしれない。だが、そこにも落とし穴がある。3年前に都内にワンルームを買った吉野光一さん(57歳、仮名)が語る。「マンション投資のためのセミナーに出かけて行って、そこで不動産屋に新築のワンルームマンションを勧められました。近くに大学もあるし、駅から10分くらいだったので、いいだろうと思って買ったのです。しかし、今年に入ってからは空室が続いている。損益通算といって、マイナス分は自分の給料と合算して、税の控除ができるような仕組みがあるので、少しはおカネが戻ってくるのですが、結局持ち出しでローンを返し続けており、全体で見れば損をしてる」素人は新築という言葉に騙されがちだが、不動産投資の鉄則は新築を避けることだ

「まず新築は中古に比べて3割くらい高い。しかし、最初の23年は税金が多めに戻ってくるので、持ち出しが少ないような錯覚にとらわれるのです。不動産事業自体がマイナスになっても損益通算があるので、なんとなく儲かっているような気になってしまう。業者の手口も巧妙です。新築の購入と運用で一時的に税金が返ってきて喜んでいるところを狙って、もう一軒買いませんかと持ちかけて来る。最初の購入での持ち出し感の薄さと税金が返ってきた嬉しさで、ついつい買ってしまう。地方の医者などで、このような手口に乗せられて、10件以上も新築を買ってしまい首が回らなくなったという人がけっこういますよ」(榊氏)

そもそも需要がないから

このように素人に投資をさせて儲けようとする業界の手口は実に巧妙だ。

たとえば家賃保証をしますといって家主を安心させアパートを建てさせる業者は多いが、実際には注意書きに「家賃は2年ごとに見直し」という条項が入っている。空室率が高いと当然、家賃は下げられてしまい、結局元が取れなくなることもある。家主は損をしても不動産会社は絶対に赤字を出さない仕組みになっているのだ。「本当に悪質な業者は郊外のどうしようもないアパートやマンションを安値で買いたたき、一時的に入居者を入れて満室にして、あたかも人気物件のように演出することもあります。そして客には『利回り10%の好物件ですよ』といって高く売りつける。しかし、購入後2ヵ月くらいしたら、入居者がどんどん出て行ってしまい、空室率は高止まりする。郊外の物件にこのようなケースが多いので気を付けたほうがいい。賃貸契約状況を確認して、12ヵ月前にどっと入居者が増えていたら怪しんだほうがいい」(榊氏)

ほとんど詐欺のようなやり方だが、素人だとこのような悪辣な手口にひっかかることも十分に考えられる。そもそも人口減の時代を迎え、経済成長も期待できない日本において不動産に投資すること自体が大きなリスクを伴う。人口と不動産価格には長期的に見て絶対的な相関関係があるからだ。

「都議会で豊洲市場の問題がクローズアップされてから、あの地域のマンションは価格が下がり始めている。円高傾向で中国人の爆買い投資も終わった。なにがきっかけになるかわかりませんが、近いうちに不動産の暴落が待っているかもしれません」(深野氏)「節税」「定期的な収入」といった甘い言葉に乗せられて、長年働いて築いた資産を大きく目減りさせてしまっては、元も子もない。「週刊現代」20161112日号より

 

過去最悪! 首都圏賃貸アパート「空室率30超」の衝撃 | 日刊ゲンダイ ...

 

過去最悪! 首都圏賃貸アパート「空室率30%超」の衝撃

2016611http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/183277

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 東京23区の空室率は過去最悪の33.68%――。
 嵐の前触れなのか、首都圏の賃貸不動産が危険水域に入ってきた。
 
トヨタなどが出資する不動産調査会社「タス」によると、今年3月の新築賃貸アパートの空室率は東京23区で30%を超え、神奈川県の35.54%と千葉県の34.12%も過去最悪となった。「アベノミクスによる異次元金融緩和と低金利政策、さらには昨年1月に施行された改正相続税法が重なり、投資先として新設賃貸住宅の着工が急増しました。このデータはマスコミではほとんど報じられていませんが、どう見ても異常と言わざるを得ません」(不動産コンサルタント「さくら事務所」会長の長嶋修氏) データからは、千葉県、埼玉県の投資用マンションも苦戦していることがわかる。保育園はなかなか建たないが、賃貸住宅だけは増えているというわけだ。だが、入居者の少ないアパートを建てた人は悲惨だ。投資用賃貸住宅の販売業者は“家賃保証10年間”などとうたって購入を勧めてくるが、契約内容をよくよく見れば、「家賃は2年ごとに見直す」と書かれていたりする。投資に見合わないどころか、破産の危機まであるのだ。 この住宅余りが一過性の現象であればいいが、日本の人口はこの後も先細り。ただでさえ、全国には820万戸の空き家が存在する。
■ドイツでは空室率30%超で都市が荒廃
 しかも、これほど空き家が話題になっているのに、賃貸住宅は増えるばかり。バブル再現を夢見てか、効率のいい投資先と見なす人は後を絶たない。
 昨年のアパートなどの「貸家」の着工戸数は前年比7.1%増の38万3678戸もあった(国交省調べ)。今年はさらに貪欲で、4月は前年同月比で16%増と6カ月連続の増加。これは
年率換算で43万戸ペースだ。バブル時代の1990年は76万戸の「貸家」が建てられていたとはいえ、今年4月の「持ち家」が1.2%の微増というのを考えれば、現在の貸家の増え方の“異常”さがわかる。 さらに東京の4月に限れば、「持ち家」(1242戸)が前年同月比で7.9%の大幅減だったにもかかわらず、「貸家」(6177戸)は20.1%の大幅増。もはや“投機バブル”としか言えない状態だ。
 富裕層のことだから自分たちには関係ないという人もいるだろうが、この空室率の増加は他人事ではない。
「東京の郊外を歩いて気付くのですが、確かにアパートの空き家が目立ちます。空室率が高まれば相対的に家賃が下がっていいと思う人もいるでしょうが、都心部に人口が奪われ、東京市部や神奈川、千葉、埼玉の郊外では空洞化が進みます。1990年に東西ドイツが統一された際、仕事を求めて西ドイツに人口が流入し、東ドイツの都市が犯罪の増加などで荒廃した事例があります。研究者によれば、空室率30%がその境目とされています」(長嶋氏)東京でも郊外の過疎化はすでに始まっている。千代田区、中央区、新宿区の人口が高い伸びを見せる中、東村山市、東大和市、羽村市、あきる野市などの郊外は人口が減少しているのだ。賃貸マンションも含めた全体の空室率は20%ほどだが、このままではあっという間に危険水域だ。
 バブルがはじけた時の痛みは過去に経験したはずだが……。